31号車 マレー半島縦断の旅・4 【シンガポール行き夜行列車】

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    寝台に乗り込むと早々に眠りに就きました。

    昨夜は夜行の飛行機。睡眠も浅く短く、クアラルンプールの街を歩き回って疲れていたのです。シャワーを浴びる事が出来ずに体がメトメトなので不貞寝するんだと決めていたのもありますが、すぐに寝てしまいました。

    少年の頃は寝台列車に乗ると嬉しくて、車窓に流れる景色に見逃すまいと駅に着くたびに起きたりして、寝台列車の意味が無かったのですが、この歳になると身体が好奇心について来れません。もっともアジアの車窓は町と町の間は広野か森林。夜ともなれば漆黒の闇が続くだけなので見るものが無いのです。

    ちなみに、この寝台に毛布はついていません。しかしベッドはシーツが敷かれきちんとセットされており、枕もあります。よく見るとシーツが2重になっています。そうです上側のシーツが上掛けなのです。

    タイ国鉄の寝台車ではタオルケットがあったのに、マレーシア国鉄はシーツか!確かにタイより更に南を走る鉄道です。しかし車内は南国特有の過剰な冷房サービス。窓の外側が曇るくらいにキンキンに冷やされています。シーツ1枚じゃ寒くて無理っっ!
    今回はエアアジアを利用してきたので、機内で寝るのに毛布無しじゃ寒かろうと、1000円も出して購入したアメニティセットの真っ赤な毛布を機内に放置せずに持ってきていたので助かりました。サイズも寝台で使うのには丁度良いハーフサイズで、今では部屋のソファでごろ寝するときなどに重宝しています。


    7:00にJBセントラル駅に到着し起こされました。
    ジョホール・バル駅が国境駅として再整備され新駅になっていました。新幹線のホームを思わせるきれいなホームです。ここで係官が乗り込んできてマレーシアの出国手続きが行われました。
    寝台に座ったままパスポートの提示が求められ、手渡すと入国印の下に赤色のボールペンで日付の記入をするのみ。実に簡便な出国手続きでした。

    乗客全ての審査を終えて7:15にJBセントラル駅を発車。列車がゆっくりと動き出すとすぐにジョホール水道の海面が見えてきます。そして道路と並んでコーズウェイ、全長1kmほどの橋に差し掛かります。



    並行する道路は大渋滞。貨物のトレーラートラックと人を満載した路線バスがほとんどです。時刻は通勤時間帯。国境を跨いで生活する人々の通勤なのでしょう。毎日通勤で国境を越えるというのは奇異な光景だと感じます。島国日本に生まれ育った故の感想で、陸路で隣国に接する人々にすれば当然の光景なのだと理解しつつも不思議な気持ちにとらわれます。




    渋滞する車列を横目に、こちらも渋滞しているのではないかと思われるゆっくりとした速度で列車は進み7:22にウッドランズ駅に到着。全ての荷物を持って下車を促されます。シンガポールの入国手続きです。




    先頭車に乗っていたのですが、審査場の入り口はホームの一番後ろ。荷物を持って最後尾まで歩きます。





    列車の乗務員たちも入国手続きをします。しかし、パスポートコントロールが終わるとカウンターの向こうには進まずに引き返してホームに戻っていきました。

    乗客はパスポートコントロールを終えると手荷物審査に進みます。上着と手荷物はX線の検査機器でチェックされ、人間は金属探知のゲートをくぐるアレです。

    さて、今回の旅では喫煙者である自分は、このシンガポールがネックでした。シンガポールではタバコの「免税」が存在しません。入国に際しては全てのタバコに課税されます。例えば空路にてシンガポールのチャンギ空港に降り立ったとします。東京離陸時に免税店で買ったタバコはシンガポール入国に際して課税されます。チャンギ空港の免税店でもタバコは売っているようですが、チャンギ空港で買ったとしても同様で、1箱20本で約7.5S$。箱単位ではなく1本単位での課税になるとの事。
    シンガポール国内で販売しているタバコの価格は日本の約2倍。そして【SDPC】と刻印されており、シンガポールの街中で外国人が喫煙していると警官がやってきて、タバコの【SDPC】マークをチェック。マークが無いと納税レシートの提示をしないと密輸入扱いとなり刑罰の対象となってしまうそうです。
    あいにく私は髪の毛の黒い日本人で、シンガポールの多くを占める華人と見た目で区別しづらいので街中で警官に声をかけられる事は無いでしょうが、課税額が大きすぎます。クアラルンプールの空港でタバコの価格を調べましたが、1カートン平均65RM、約1,850円。そこに5,000円近い税を課せられてはとんでもないので、日本出国時に3箱だけ持って来ました。

    このシンガポール入国に際して手元にあったタバコは1箱半。1箱はキャリーバッグの中に、吸いさしの開けた箱はショルダーバッグに入れていました。

    タバコの申告手続の仕方が解からず、申告用紙も見当たらないので言われたら申告しようと手荷物検査の列に並びました。数人前の華人系の若い夫婦の旦那さんの鞄が検査で引っかかり、「申告するものは無いか?」と問われて「無い」と答えると、鞄を再び機械に。出てきた鞄を開けさせて係官が中から折りたたみナイフを取り出して提示。「コレ、ダメー!」「ハイ、あんたコッチー」と何処かに反省文を書かされに連れて行かれました。奥さんは他人を見るかのような態度で仏頂面、能面のように表情が全く動きません。華人系の標準的な対応なのか、突然の事に固まっているのか、はたまた夫婦仲が冷え切っているのかの判断はつきませんでした。

    この時は全くタバコの事を忘れていたのですが、手荷物検査ではタバコは一切問われませんでした。少量ならお目こぼしも在り得るとの情報もあったので、該当したのかもしれません。

    手荷物検査を終えて進むと正面にガラス張りの自動ドアが現れ、その先にエスカレーターが見えます。が、ここを進むと地上に出てしまいます。ウッドランズ駅はパスポートコントロールの為の駅なのでここから乗車する事は出来ませんが下車する事は出来るとの由。ここで降りたほうが何かと便利な人は自動ドアを出て行きます。再び列車に乗り込む人は自動ドアの左手の待合ホールへ。全員の入国手続が終わるまでホームに面した自動ドアは開きません。

    自動ドアが開くまでの間に周りを見渡すと、日本人らしきはバックパッカーの青年が一人だけ。しかし服装から判断すると日本人では無いかも知れません。間違えて下車側のドアを出てしまった人が係員に連れられて戻ってきたりしているうちにドアが開き、再び列車に乗り込みました。



    8:05。終点のシンガポール駅、正式名「タンジョン・パガー駅」に向けて列車はウッドランズ駅を発車しました。

    ウッドランズを出た列車はズンドコズンドコ南に進みます。 そういう音が出ているわけではないので悪しからず。

    いま乗っているウッドランズ駅からシンガポール(タンジョン・パガー)駅の区間は、今年(2011年)の6月での廃止・転用が決まりました。
    シンガポールがマレーシアから独立後も、この区間はマレーシア国鉄が所有・運用しており、シンガポール国内にマレーシアの国有地が帯状に存在しているという状態になっているのです。昨年ようやく両国間での協議がまとまりマレーシア国鉄線はコーズウェイを渡ったウッドランズ地区に新駅を作って、シンガポール国内はMRT線に乗り換える事になるようです。

    (※2011年7月1日より、ウッドランズ駅がシンガポール側の終着駅となっています。従いまして、せっかく読んで頂いた入国の手続きは、違う形式になっていると思われるので御注意下さい。)

    こうした事情から、ウッドランズ駅からシンガポール(タンジョン・パガー)駅の間にも駅はあるのですが、列車の交換だけで乗降は出来ません。線路はシンガポールの島を東西に分断するように、島の中央部を北から南に進みます。建設当時に後に複線化する事を予定していたのでしょう、鉄道敷地は広く取ってあり、木々が生い茂った森の中を列車は進みます。狭い国土で国民のほとんどが高層団地に住まうシンガポールにあって、近隣の過密ぶりとは隔世の感のある広い鉄道敷地をシンガポール政府が欲しがるのも肯けます。

    そしていよいよ列車は8:40、80分の遅れをもってシンガポール駅に到着しました。
    早速列車の編成写真を取ろうとすると、既に機関車は解結されて機回しの準備が始まっていました。2面2線+機回し線の配置で、列車は留置せずに何処かに引き上げて行くようです。








    念願のシンガポールに到着しました。とにもかくにもシャワーです。
    シンガポールに着いたらしたい事?
    バカな事を聞くな。シャワーを浴びる事に決まっているだろ!シャワールームがあるのかは知らんけど。

    シャワールームが無かった場合の落胆に心が折れないように、シャワーの事なんか忘れているのだよボカァ…。という無駄な心の準備のために、駅構内の撮影をしながら目の片隅で案内看板をチラ見したりしますが、肝心の「シャワー」の字が見当たりません。








    動揺する前にトイレをチェックだとトイレに向かうと、トイレの前にカウンターがあり、イスラム帽をかぶった爺さんがカウンターに座り、愉快な仲間たちがその周りにめいめい椅子を出して、コーヒーを飲んだりタバコを燻らせたりしていました。

    カウンターの上には料金表があり、トイレ0.2$、シャワー1$、荷物預かり5$との表記を確認しました。
    早速構内の両替所にとって返して5,000円を両替。72.25S$になりました。

    勇んでシャワールームに赴くと、2つあるシャワーは使用中。まあ座りなさいと、オレンジ色のつなぎを着たオジサンが椅子を出してくれて、待つことに。

    このトイレ前の一角は、シンガポール駅で働いたり、ぼんやりしている男達の社交場であるようで、トイレ前の通路には茶器が置かれ、天井から吊られたテレビを見ながら談笑しています。そこに自分も加わってタバコを吸いながら質問責めへの対応。まったりと時間が過ぎて行きます。

    シャワーが空いたので早速浴びました。無論水シャワーです。汗と脂に塗れた身体は泡立ちが悪く2度洗い。水なので脂切れが悪いのも一因です。

    さっぱりして出てきて荷物をまとめると、デジカメのバッテリーの残りが少ない事を思い出しました。カウンターの爺さんにお願いしたところ1時間1$でコンセントを貸してくれることに。充電の間に構内の食堂で朝食を採る事にしました。メニューにラクサを見つけ、昨夜食べたラクサに納得いかなかったのでリベンジしました。こちらのは魚醤が効きすぎていましたが、まぁ食べられる味でした。







    食事を終えてホーム上に据えられたテーブルに移り、コンデンスミルクの入った甘すぎるミルクティーを飲みながら一服点けて、のんびりと構内を見渡します。果たしてここはシンガポールなのでしょうか?
    見える範囲に居るのはマレー系の人々。オープンエアの場所ではタバコの紫煙があちこちから昇っています。

    まったりとした雰囲気に、この場所が気にってしまい動くのが面倒なくらいです。でも再びシンガポールに訪れる機会があるかは解かりません。腰をあげて動き出す事にしました。

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      • 2017.10.19 Thursday
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      • 00:31
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      コメント
      とても魅力的な記事でした。
      また遊びに来ます!!
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